今回の合意では、Rio Tinto がすでに Oyu Tolgoi の管理費を50%削減することを認めていたのに加え、モンゴル側に帰属する数十億米ドル規模の株主融資について、金利を2.5ポイント引き下げる。また、金利条件の見直しを従来の7年ごとから3年ごとに短縮することで合意した。
N.Uchral首相は、今回の合意を「モンゴルにとって有利な選択肢」と位置付け、Oyu Tolgoi の資源収益から返済される予定だった62億米ドル、約22兆トゥグルグ相当の費用を削減できる可能性があると説明した。政府試算では、これによりモンゴル側の将来利益は25億米ドル、約8兆トゥグルグ増加する見通しである。
政府はこれまでにも、Oyu Tolgoi の管理費を22億米ドル削減し、モンゴル側利益を15億米ドル増やしたとしている。今回の金融条件見直しと合わせると、総額84億米ドルの費用削減により、モンゴル側の将来利益を40億米ドル拡大できるとの見方を示している。
配当開始時期も交渉の焦点となった。モンゴル政府は、今年中に Oyu Tolgoi から配当を受け取ることで合意したと説明している。一方、Rio Tinto 側は、政府と Rio Tinto が配当実施時期の前倒しに向けて協力することで合意したと発表している。
また、両者は Entrée Resources のライセンスに関連する課題についても、速やかに解決することで一致した。同問題は、Oyu Tolgoi 鉱床のライセンス構造、地下鉱山拡張、将来の生産見通しに関わるもので、プロジェクトの長期的収益性と投資環境を左右する重要な論点となっている。
Rio Tinto の銅部門 CEO である Katie Jackson 氏は、株主融資金利および管理費に関する今回の変更について、Rio Tinto がモンゴル政府とのパートナーシップに引き続きコミットしていることを示すものだと述べた。同氏によれば、合意は Oyu Tolgoi の開発リスクが低下し、同鉱山が安定操業段階へ移行しつつあることを反映している。
Oyu Tolgoi は、モンゴル最大の鉱山プロジェクトであり、外国直接投資の象徴的案件である。今後数年間で生産能力を段階的に引き上げ、年間平均50万トンの銅生産を目指している。銅は電気自動車、再生可能エネルギー、送電網整備などエネルギー転換に不可欠な原材料であり、世界的な需要は引き続き高水準で推移している。
Rio Tinto によると、Oyu Tolgoi では1万7,000人超のモンゴル人専門人材が働いており、2010年以降、モンゴル国家予算に累計61億米ドルを納付している。
ただし、今回の合意によって同プロジェクトをめぐる政治リスクや投資リスクが完全に解消されたと判断するのは時期尚早である。RBC のアナリスト Ben Davis 氏は Financial Times に対し、今回の合意は Rio Tinto にとって「総じてわずかにプラス」と評価しつつも、モンゴルの政治環境は変化が速く、政府が将来的により大きな経済的取り分を求めるリスクは残ると指摘した。
N.Uchral 首相は、今回の合意について「モンゴルが金融主権を守りながら、世界の投資家にとって高いリターンを生む環境を整備できることを示した」と強調した。一方、Rio Tinto にとっても、銅価格が高く、Oyu Tolgoi が安定操業段階へ移行する中で、モンゴル政府との関係を安定させることは、同プロジェクトの長期的価値を守る重要な一歩となる。
情報源:Bloomberg




















