格付け大手S&Pは、モンゴルの長期信用格付けを従来の「B+(ポジティブ)」から「BB−(安定的)」に1段階引き上げたと発表した。これにより、モンゴルの格付けは過去13年間で最高水準となった。S&Pは、モンゴル政府が直近5カ月間に進めた財政および債務管理政策の成果を評価したと説明。ガンフヤー・ザンダンシャタル首相は就任直後の2025年度予算修正で歳出を2兆2千億トゥグルグ削減し、財政赤字を縮小。また、石炭輸出の拡大や外貨流入促進策により経済成長を下支えし、外貨準備高は過去最高水準に達した。
格付け改善の要因
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財政収支の改善:2022年以降、鉱物資源輸出の拡大を背景に財政実績が大幅に改善。
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債務比率の低下:安定した経済成長と適切な債務運営により、政府債務のGDP比率が低下。
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中期的な経済安定:今後1〜2年間も財政赤字は低水準を維持すると見込まれる。
また、S&Pは報告書で「近年の国内政治状況にかかわらず、政策の一貫性と実行力は維持されている」と指摘し、モンゴル政府の財政・経済運営を前向きに評価した。
格付け3大社そろって高評価
今回のS&Pによる格上げで、モンゴルは2025年、主要3大格付け機関すべてから好意的な評価を受けた。
• Fitch Ratings:格付け「B+/安定的」を維持。
• Moody’s:2025年初頭に「B2/安定的」から「B1/安定的」に引き上げ。
• S&P:今回「B+/ポジティブ」から「BB−/安定的」にアップ。
3機関がそろって高評価を示すのは異例であり、国際市場ではモンゴルの政策運営と信用改善への信頼が高まっていると受け止められている。
今後の展望と影響
S&Pは報告書で「モンゴル政府が現在の財政・債務政策を安定的に継続することが望ましい」と指摘。政治的安定を維持しつつ、財政規律を堅持するよう促した。格上げにより、モンゴル政府および民間企業の海外調達コスト(借り入れ金利)低下が見込まれる。銀行や民間企業の信用力向上、外国投資家の信頼回復など、資金流入の加速が期待される。
情報源:News.mn




















