モンゴル政府は、国内最大の銅・金鉱山Oyu Tolgoiプロジェクトに関して、主要投資企業である英豪資源大手Rio Tintoと融資金利の引き下げを含む包括的な協議を開始した。交渉は今週4日間にわたり行われる予定で、金利体系の見直しや管理費の削減、配当金受取時期の前倒しなども議題に上る。
B.Javkhlan財務大臣は「協議の最終目的は、当初契約通りモンゴル側の取り分を53%に回復させることにある.単なる金利引き下げにとどまらず,経営管理費や関連コストの是正も含めた包括的な見直しを行う」と述べた。
G.Damdinnyam産業・鉱業大臣も「金利を引き下げれば、モンゴル側の実質収益が増加し、配当金の受け取りを早めることができる。これにより国家の富がより早期に国民へ還元される」と強調した。
- 鉱山の投資構造と収益問題
Rio TintoはこれまでにOyu Tolgoi鉱山へ約200億米ドルを投資。そのうち40億ドルは出資金、残りは融資として実行された。当初の契約ではモンゴル側が53%の利益配分を得ることになっていたが、現在は26~27%程度にとどまっている。政府はこの格差を是正するため、今回の交渉で金利体系の見直しを優先課題としている。現行の融資条件はLIBOR金利+6.5%。政府はモンゴルの信用格付けが10年ぶりに「B+(安定的)」へ引き上げられたことを交渉の有利な材料とし、可能な限りの利率引き下げを目指す。
- 資源配分と国益確保の課題
交渉では、Rio Tinto傘下のEntrée社が保有する鉱区についても、国家の持分割合を見直す議題が予定されている。Oyu Tolgoi鉱床全体の約32%に相当する鉱量(銅1,030万トン、金759トン、銀3,300トン)がEntrée社の鉱区に含まれており、政府は国益確保の観点から持分調整を模索する構えだ。モンゴル政府は、巨額プロジェクトの経済的実益を国民へ還元する姿勢を鮮明にしており、今回の交渉結果は同国の資源政策と財政安定性に大きな影響を及ぼすとみられる。
情報源:Bloomberg




















