G.Zandanshatar首相は2025年度秋季通常国会の開会式で、2026年度国家予算案を発表した。首相は本予算を「経済成長の成果を各家庭に届ける人間開発を中心としたメガプロジェクト」と位置づけており、国民生活に直結する分野への重点投資と財政健全化を強調した。主な内容は以下のとおり。
保健医療・教育分野への重点投資
  • 保健医療分野への投資を5.5倍に拡大。
    1. 第2国立がんセンターおよび国立心臓疾患センターの新設に着手。
    2. 外傷・整形外科センターの拡張を実施。
    3. 17県の救急・集中治療部門を全面刷新。
  • 教育分野への投資は2倍に増額。
  1. 首都で学校117校、幼稚園73園、学生寮32棟を新設。
  2. 教育分野の経常予算を1,000億MNT増額。
  • 外国からの融資や支援も、保健・教育分野に重点的に活用。
 年金引き上げと電力自給率向上
  • 平均年金額を90万1,000MNTに引き上げる計画。
  • 電力分野では海外依存度を低減するため、3兆9,000億MNTの国内資金を投じて新たな電源開発を推進。
 鉱業資源活用と国富基金強化
  • Tavan Tolgoi鉱床群の未開発資源を経済に活用。
  • これにより国富基金の資金を拡充し、持続可能な財政基盤を構築。
 住宅ローン制度改革
  • 住宅銀行を新設し、低金利・長期返済型の住宅ローン制度を導入。
  • 政府、民間企業、国際機関が連携し、国民の住宅取得を支援する新たな融資システムを構築。
 地方インフラ整備と国境検問所建設
  • 地方道路整備事業を継続。
    • 1兆2,000億MNTを投資し、
      1. 新設道路3,122km
      2. 橋梁3,159mを建設・修繕
  • アジア開発銀行(ADB)の支援により、以下3か所の国境検問所を拡大:
  1. Tsagaanuur
  2. Bulgan
  3. Khavirga
 財政健全化と行政改革
  • 予算支出のGDP比を**35.1% → 32.2%**へ削減。
  • 経常経費のGDP比を**26.6% → 24%**へ縮小。
  • 国有企業数を109社 → 87社に統合・削減。
  • 公務員数を23万人 → 21万8,000人に削減。
  • 国有企業の調達を完全デジタル化し、AIを活用した調達システムを導入。
 観光産業の強化
  • 2,670億MNTを投資し、観光関連企業150社以上のインフラ整備とサービス品質向上を図る。
 経済目標と予算規模
  • 経済成長率:5.7%
  • インフレ率:7%以内
  • 輸出総額:167億ドル
  • 歳入見込み:31兆6,000億MNT
  • 歳出見込み:32兆9,800億MNT
  • 財政赤字(均衡ベース):1兆3,800億MNT
総括
2026年度予算は、保健医療・教育分野を中心とした「人間開発」への大規模投資を軸に据え、同時に財政健全化と産業多角化を目指すものとなっている。
ザンダンシャタル首相は、「経済成長の果実を国民一人ひとりに行き渡らせる予算とする」と強調した。

情報源:Montsame通信