7月8日、「モンゴル経済フォーラム2025」が「明日のために共に」というスローガンのもと開幕した。
 2日間の本フォーラムで、モンゴルの経済および社会発展に関する喫緊の課題について議論し、解決策を見出すことを目的に、2010年より開催されている。
毎年異なるスローガンを掲げて開催される同フォーラムは、2022年には「新復興政策」、昨年は「地域発展-モンゴル経済フォーラム」という名称で開催され、地域発展の理念、投資配分、予算の効率性などについて議論が行われた。同年は「明日のために共に」というスローガンのもと、都市計画、都市経済、海外からの投資誘致、新たな機会とリスク、重要鉱物資源、サプライチェーンといったテーマに焦点を当て、講演および討論が行われる。
 主催者側は、国内外の投資家、起業家、国際機関の代表など、3000人を超える参加者が集結する同フォーラムで、経済の後退を未然に防ぐ方策、国際貿易への参入に伴う変化、投資促進の取り組み、そして投資家の権益をいかに保護するかといった課題について議論が行われ、このような問いに対する答えを見出す貴重な機会になると強調している。
 開会にあたり、G.Zandanshatar首相は、政府が推進している政策の方向性や投資・インフラ整備に関するメガプロジェクトの進捗状況について詳しく説明した。また、短期・中期的に実施を予定している取り組みに加え、今後5年間でモンゴルをエネルギー輸出国とするという目標を掲げていることを明らかにした。
 G.Zandanshatar首相は「モンゴルは経済の多角化を進め、今後10年で国内総生産を2倍に拡大することを目指している。モンゴルは天然資源の埋蔵量において世界トップ10に入り、国土面積では17位に位置している。また、レアアースの豊富な国でもある。今後はオープンで互恵的かつ信頼に基づく投資を支援し、鉱業分野における健全な政策を推進していくことが可能である。加えて、投資家を「招いておいて傷つける」ようなこと、「歓迎しておきながら締め付ける」ようなことはあってはならない。投資家自身が『モンゴルは投資に優しい国』と言うようになって初めて、健全なビジネス環境が整う。新政権は、鉱業に加え、農業、再生可能エネルギー、観光産業の発展にも特に注力する。また、企業や市民に対して迅速かつ透明性のあるサービスを提供するため、デジタル・トランスフォーメーション(電子化)を進めていく」と述べた。
経済フォーラム2日目は、「持続可能な鉱業」をテーマとしたパネルディスカッションが続いた。パネルディスカッションには、モンゴル鉱業協会のG.Erdenetuya事務局長、Erdenet Mining CorporationのG.Yondon総裁、O.Batnairamdal国会議員、Asia Mining GroupのKurt Tonマネージングパートナーが登壇した。
 
  • モンゴル鉱業協会のG.Erdenetuya事務局長:国際的に、市民の要求はますます高く、また狭くなっている。そのため、鉱業は責任ある行動をとるべきだという基本的な認識が強まっている。国際的な鉱業ESG基準への加盟に向けた取り組みは2年前に開始された。この基準はカナダ鉱業協会の基準をベースとしており、来年の完成を目指して策定・準備が進められている。これは、鉱業製品の売上と価格の向上にとって非常に重要だ。鉱業は投資、公共性、地域関係、政治など、多くの課題に直面しているため、この基準は、多くのステークホルダーが共通の言語で相互理解を深める機会を提供する。一つの企業がこの基準を導入し、外部評価を受けた場合、高い成果が得られている。今後、所有形態に関わらず、業界全体で単一の基準を持つことは、投資家の信頼を高め、地域社会との関係を改善する上で重要だ。
 法改正が鉱業の喫緊の課題への対応を目的としているかどうか、注意深く見守る必要がある。例えば、現在の銅ロイヤルティは、鉱業セクターの拡大を阻害し、成長を阻害している要因となっている。真に鉱業セクターを発展させたいのであれば、地質探査活動の強化、投資問題の解決、ロイヤルティの削減、金採掘の増加、フランスのOrano Mining社との協定に基づくプロジェクト活動の開始など、このセクターが直面しているいくつかの問題を解決する必要がある。
  • Asia Mining GroupKurt Tonマネージングパートナー:モンゴルは鉱業における優位性を最大限に活用する必要がある。賢明な地政学的関係を築くことが重要だ。それは、あらゆる国と良好な関係を築くことを意味する。私たちは経済の多様化を進めなければならない。投資誘致には二つのアプローチが必要だ。第一に、モンゴルへの認知度を高めること、そして第二に、投資が確実に収益性を持つようにすることだ。

情報源:Montsame通信