モンゴルは、アジア北東部に位置し,ロシアと中国の間に挟まれた位置にあり,広大な国土(日本の 4 倍)を持つ国である.1989年に65年間続いたソ連の衛星国から脱却し、民主化,市場経済化を進め,現在に至っている.体制移行国として既に約20年が経過している.経済は,鉱物資源の輸出を中心に順調に拡大してきている.モンゴル国の鉱物資源のポテンシャルは高く,これまでに 1,947 の鉱床,約 9,000 の鉱兆,80 の鉱物種が確認されている。輸出の中心は銅,石炭,鉄鉱石等の鉱物資源である.特に鉱物資源の輸出は、輸出金額の80%近くを占め,同国の主要産業となっている。一方,羊,山羊,牛,馬,ラクダなどがおよそ6,300万問頭を存在する同国の伝統的産業は家畜関連産業であり羊毛,カシミア等の繊維製品,皮革,食肉,酪農製品等で比較的優位にある.
2009年10月6日にモンゴル政府とカナダのIvanhoe MinesおよびRio Tintoとの間でOyu Tolgoi 銅・金鉱山の投資契約が締結されたことにより,モンゴルの鉱山開発が大きく前進した他,世界規模のTavan Tolgoi炭田開発,原料炭価格の急騰,中国の鉱物資源需要の上昇などにより,世界中から注目され外国投資が大幅に上昇し,2011年に経済成長等は17%にも至った.しかし,2012年の総選挙以降,外国投資に厳しい政策を行い投資環境が悪化しさらにモンゴル政府からの投資協定改定の要求により,最大プロジェクトであるOyu Tolgoi 銅・金鉱山のフェーズ2が中止された.モンゴルの国内状況の悪化と共に,最大の貿易パートナーである中国の経済成長停滞により経済成長,外国投資が大幅に減少している.
外国投資の重要性を理解したモンゴル政府は,2013年10月から投資法を改定し,投資環境を改善する政策を積極的に取っている.2015年5月にOyu Tolgoi 銅・金鉱山プロジェクトの投資家と合意できた結果,Oyu Tolgoi社が2016年から40億US$の融資を受ける契約を国際金融機関らと締結できたことで,外国投資家の信用は高まった.モンゴルと日本の間では,2013年の安倍総理モンゴル訪問の際に締結された,両国関係発展の基礎となるIrch・イニシアティブ,2015年に締結された経済連携協定(EPA)などにより,今後は鉱物資源分野,インフラ分野を中心に日本・モンゴルの実質的な貿易・投資関係が活発化することが期待されている。